vol.10 まだまだ「トホホ」は続くのだ!



やっぱ夕食もトホホだった (ーー;)…

まぁ、こういったコトはですね、些細(ささい)な事柄と言ってもいいかもしれないです。各旅館によって同じ様な料金でも、サービスに大きな違いがあるってことぐらい、私たちだって承知してますしね。い〜でしょう、い〜でしょう。ここは私たちが気にしなけりゃいいことなんだから。

……でも、でもですね、旅の最大の楽しみである夕食までトホホだったんですよ…。これはイケません!だいたい旅行なん80%は夕食が楽しみで、あと19%がフロなんですから。で、残りの1%が観光。少なくとも私はそうですね。だから、多少部屋がキタナかったり狭かったりしても、仲居さんが無愛想でも、大浴場のドライヤーが10円入れなけりゃ温風を出さないタイプのモノだったとしても、ハッキリ言って、夕飯さえ良けりゃ、全部許す!その上にフロが清潔でタイル貼りでなくて(これはまったくの個人的好みですが…)、露天風呂があったら、も〜っと許す!っとそのくらい夕食ってのは旅のメインイベントなのです。

しか〜し!(クドイですね?このフレーズ…)、ハッキリ言って白浜○○の夕食は「トホホ」でした。ゴカイしないでいただきたいのですが、決して「マズイ」とか「貧相」とかではないんです。あくまで「トホホ」な夕食なのです。このビミョウな違いが判りますかな?

たとえて言いますと、格安民宿の晩飯に、「アジのタタキ」がメインの雑魚刺身盛り込みが、とてもキレイに盛りつけされて出されたとします。漁師のオトーサンはシケで魚がとれなかったので、スンマセンと言って冷凍ですがキンメダイの煮付けをサービスしてくれました。これは予算内というキビシイ現実の中で、ココロがこもっているのですから○なのです。しかし、けっこうそれなりのホテルに泊まって、一見ゴーカ風の夕食の中で「おろろ!ゴーカ風に見せてるけど、食材も調理も手抜きじゃん!」というシロモノを発見した時は「トホホ」なのです。つまり「トホホ」とは客をベルトコンベアーに乗って現れる商品としてしか見てないホテル(旅館)に出没する妖怪なのですね。



「白浜○○」全夕食メニューとそのコキオロシです

前置きが長くなりました。これが先付けとよばれるモノらしいです。ご覧になってお判りかと思いますが、まず器にナンの工夫もありません。良いウツワっていうのは、私みたいにナンの知識と見識のない人間が見ても、結構判るモノなんですよね。で、それ以上に私たち庶民がすぐ判ってしまうのが、「安いウツワ」なんですね、ザンネンながら…。なんせ普段使ってるモノですから。ヤスモノって。

そのヤスっぽいウツワに「チマチマ」っと、バランス悪く料理が並べてあるのです。なんかその工夫も愛情も感じられないレイアウトに、まず「ケッ!」なのです。しかも料理を運んできた仲居さんが、年の頃なら25、6の女の子なのですが、アイソというものが全然ない国生さゆりをツリ目にして、顔を1.5倍くらいにフクラマせたってフンイキの子でして、その子がこれから出てくる料理の説明をはじめたんです。

「え〜これから、海鮮シャブシャブを持ってまいりますので、まずフォアグラを入れて、しばらく汁に溶かしてから、他の魚介類を入れて召し上がって下さい」

かいせんしゃぶしゃぶぅ!このクソ暑いのにかぁ?

再三再四書いていますが、和歌山は到着してからず〜っとウダルような暑さが続いてます。ようやくホテルに到着して、やっと部屋の冷房でカラダを冷やして「やれ嬉しや、さぁ〜て、美味い料理でもつつきながら、つべたいビールなのだぁ!」と意気込んでレストランに乗り込んだ(この日は部屋出しではなかったのです)私としては、イキナリ足もとをすくわれたような衝撃です。

「あのぅ、シャブシャブですからカルく火を通すだけで良いんですよね?表面がシロくなる程度で」

まっ、そうやってカルくシャブって、冷たいタレにつければ、なんとかなるか…と思い直し、ムーンフェイスの女の子に確認します。

「あっ、でも、ナマモノですからね。やはり良く火を通して召し上がって下さい」

ぢゃ、それって鍋やんか!

絶望的なキブンで、いかにも出来合いっぽい先付けをツツキます。



海鮮シャブシャブ登場!

しばらくすると、いよいよモンダイの海鮮シャブシャブの登場です。真ん中にで〜んとロブスター(推定600グラム)がのっかっているんです。まぁ一見ゴーカと言えばゴーカなんですがね、でもやっば伊勢エビの方がスキだな、私としてはですね。

すでにこの旅館のスマシ顔的営業方針に「トホホ」を感じてしまっているワタシですからして、ドでかいロブスターをみても「ケッ!安いエビ使ってんな〜」としか感じません。伊勢エビの甘みや身の締まり具合、甲殻類特有のうま味っていうのは、泥臭いロブスターには期待できないのです。よく海外のロケ番組で、フダンはセブンのブリトーかロケ弁当が主食の若手2.5流タレントが、いろんなソースをベタベタくっつけたロブスター料理を食べて、「すっご〜い!わったし、こ〜んなおっきいエビ食べたの初めてぇ!」とカンゲキしているのを見かけますが、あんなのほとんど味なんぞ判ってないと思いますよ。ただ大きいエビが食べられたコトにカンゲキしてるだけの話。

それで、気になる味の方ですが、やっぱり甲殻類の味がゼンゼンしないのです。良質の車エビを天ぷらにして、アツアツを食べたことのある人でしたら、あの何とも言えない甘みとエビ特有のの味と香りって判りますでしょ?それが、このシャブには全くないのです。ただ、白身の身を湯に通しているだけ。

まぁこれだけ大きい(推定600グラムですから)エビですと、大味になってしまうのは仕方のないコトでもあるのですが、それだったら300グラムの伊勢エビ×2匹とかにしてもらった方がね、よっぽどウマいのですよ。でもって300グラムの伊勢エビなんて我々が安いネット通販で買ったって1500円〜3000円くらいのはずなんですけどねぇ…。

この海鮮シャブシャブに「トホホ」を感じてしまう一番の原因は「味をコロしてまでも見かけを重視しちゃおう。ドーセ客にはエビの味の違いなんて判るはずないから、単価が安いロブスター出しとけばカンゲキすっだろ」っていう不遜なココロを感じてしまう部分なのです。しかも「夏の鍋料理」なのです。料理を作るヒトでしたら経験があると思いますが、鍋料理って一番手抜きができる献立なんですよね?それで一見ゴーカに見えるし。ホテルとしては手間をかけなくても、それなりにカッコがつく料理なんです。結果、暑くて「ひーひー」言ってる客にも「当館のココロ尽くしでござぁいまぁ〜す」とヘーキで鍋料理を出すコトになっちやう。

と言うわけでですね、夕食料理の評価でいえば、この「白浜○○」の「真夏のシャブシャブ鍋」料理は、過去10年間の旅館夕食で輝くワースト1に決定!(パチパチパチ?)。あまりのオソマツさに、注文したビールを飲む気力もなくして、一本まるまる残しちゃったワタシでした。

注: 上記に「ロブスターと伊勢エビは全然違う」という表現がありますが、これについて閲覧者の方から指摘がありまして、「プロでもロブスターと伊勢エビのチガイはわかりづらい」とのことです。そう言われますと自信が全くないsmokyでありますから、上記の記述はあくまで「私の個人的味覚を書いたモノ」として読んで下さい。…ただ、夏のシャブシャブは許せん!(まだ言ってる (^^ゞ)



ええい!メンド臭い!残りの献立は一挙公開ぢゃ!

これ以上私のウラミ節をあんまりクドクド書いても、しかたないですから、残りのメニューはライトにサラッと流すコトにします。

【牛の冷シャブ】見た目はウマそうだったんですけどね、結構シモフリで。だけど、いざ食べてみたら肉の旨味がまったく舌に伝わってこないんですよ。作ってから時間をおきすぎたのか、それとも肉自体が見かけ倒しなのかは判別できませんでした。それに海鮮シャブシャブのアトに、いくら冷たいとはいえまた「冷シャブ」とは…。芸がなさすぎません?

【お造り】鯛らしき白身の刺身とイカとマグロの中トロでした。鯛はまあまあ合格ですが、イカがモノスゴク固いのです。ハンパじゃない!「歯ごたえ」なんていうカワイイ形容はとうに通り越して「オマエラのような軟弱モノには、わしは噛み切られん!」という強い意志を持った別の生命体のような気さえしました。そして中トロですが、生臭いんですよね。昨日、勝浦御苑の中トロを食べた記憶がありますから、いっそう鮮度の悪さがウキボリになっちゃう。

【鮎の甘露煮?】アユだと思うんですよ。で、甘露煮かなぁ?なんせここのメニューはお品書きが付いてきませんので、サッパリわからんのです。腹の中に味噌らしきモノが詰めてあるのですが、名物の「金山寺味噌」なのかなぁ??っと、もう「食の手探り状態」なのです。仲居さんに聞きたくても、料理をバンバンっとおいて、サッサと帰っちゃったしなぁ。トホホ。で、ワケのわからんままにポソポソの食感と戦いながら、2、3口食べたのですが…結局あんまり美味しくなかったんで、残しちゃいました (ーー;)。ホトンド完食なんですけどね、私の場合、旅先の夕食って…

【牛タンの炊き合わせ】こりゃ炊き合わせっちゅ〜よりも「タンシチュー」です、カンゼンに。だってソースもデミグラスっぽかったし。でもムーンフェイスの仲居さんはハッキリと「牛タンの炊き合わせです」と言ったのです。まぁ、美味けりゃどっちでもいいんです。それで、これはなかなか美味かったから、サバクのオアシス状態でしたね。^O^

でもってこれにデザート+ご飯+みそ汁+お新香=メニュー終了 なのでした。「へっ?おしまい…でっか?…これで?」というカンジで、本日のお楽しみ夕食は終了なのです。

さすがに、義母の前で怒り狂うわけにもいきませんので、「あ〜食った!食った!でっかいエビだったっスね〜」などとテンションをむりやり高くして陽気に振る舞いますが、もう私のココロの中はグツグツとマグマ状態なのです。

こういう時って、旅人はどんな反応をしたら良いか、すごく悩みませんか?「支配人を呼べ!」っていうのはオトナゲないですし、第一そんなことしても翌日の出発までキマズイ思いをするだけですし。かといって、そんじゃ私の胸のマグマはどうすんの!ってな心境なのです。以前、極限までハラがへってた時に、「よおし、よおし!今日は食ってやるもんね!」っと意気込んで、近所の定食屋に行きまして、「カツ丼とラーメン!」と声高々にサケんで注文したら、注文ミスでラーメンしか来なかった時があったんですが、その時のゼツボー感と同じものがありますな。でもって、ブチキレる私に、妻が「ね〜私のカツ丼半分あげようか?」なんて気を使ったりするから、よけいナサケなくなっちゃう。………あっ!いかんいかん。またまた話が横道にそれてきてるのだ!

とにかく、こういうどーしょうもない時は寝るっきゃないのです、アタマから布団をかぶって。トホホの夕食にブチ当たってしまった我が身のフコウを呪いながら、枕をぬらすのです。

「さあ!寝るど!寝るど!」とココロの中でワメきながら部屋に戻ると「ねえ、お風呂入いりに行こ〜よ〜」と妻が言います。しかし、もうそんな心境ではないのだよ!おぢさんは!

もう!寝るのだ!



GEORGEよオマエまでもか!