ナガスクジラ
体長は20m、体重45〜75トン、シロナガスクジラについで大きな生き物で、
亜熱帯から極地にかけて広く分布しているが、赤道付近ではほとんどいません。
南北両極での交流はなく、北太平洋と北大西洋でも別の個体群がいる。

イワシクジラ
体長は15m前後、体重は15〜25トン、ナガスクジラより小さく、ニタリ
クジラより大きいイワシクジラは他種と同様、体は流線型で、くちばしは
幅広で平らなU字型です。
噴気孔からくちばしの先端にかけて縦に走る顕著なうねがあります。
マッコウクジラ
体長は15〜20m前後、体重は40〜50トン、マッコウクジラはハクジラの中で
最も大きく、歯のある動物では世界で最大で、マッコウクジラの巨大な頭および
特殊な形はクジラの典型的な例である。
マッコウクジラの頭部は、クジラ類の中でも例外的に非常に巨大で、特にオス
では、その体長の3分の1に達する。
和名のマッコウクジラの由来は、まれに腸内から発見される瘤(こぶ)から、
竜涎香(りゅうぜんこう)とよばれる抹香に似た香りのする香料が採れるため
です。頭部の形状が特徴的で、クジラの絵を描くときのオーソドックスな形として
親しまれています。
ザトウクジラ
体長は15m前後、体長は25〜35トン、尾びれの裏側の模様で個体を
識別できます。
胸びれは長く、季節にともなって回遊し、アラスカのものは冬は出産と
育児のため、ハワイなどの暖かい海へ移動します。オスは繁殖期に
「歌」をくりかえし歌う事が知られています。潮吹きを3〜4回した後に
潜水する。
ニタリクジラ
体長は15m前後、体重は25トン前後、イルカのような
美しい鎌形の背鰭をもっていて、スマートな体つきは、
水中生活に極限まで適応した流線形で、クジラらしいクジラでです。
外見上の特徴は、鼻孔前方から吻(ふん)端に向う3本の稜線でです。
ニタリクジラは大きな群れはつくらず、通常単独か2頭で行動しています。
海水温度20℃以上の温暖な水域を好み、熱帯から温帯海域に生息します。
他のナガスクジラ類は南北回遊を行いますが、ニタリクジラは
定住性が強く季節的な回遊は行わず、餌生物の移動に伴う
小規模な回遊を行う程度と考えられています。
ニタリクジラは、かつてイワシクジラと混同されていました。
「ニタリ」というのは、イワシクジラに似ているところからつけられたものです。
ミンククジラ
体長は10m前後、体重は5〜8トン、ナガスクジラ類では最小の種で、
おもに外洋性で回遊をします。
水にもぐるときに体を大きく曲げるが、尾びれを水上にもち上げたりは
しません。周波数80Hz〜20kHzのパルス音やクリック音、
ブーブーという声などを発してコミュニケーションをすることが
知られています。
ゴンドウクジラ(マゴンドウ)
体長は4〜5m、体重は2〜3トン、体色は黒または黒褐色。頭が樽型で
丸く大きく、くちばしがない。通常15〜40頭くらいで行動します。
世界中かなり広く分布していますが、日本近海では銚子から沖縄に
かけて生息し、北海道の太平洋岸から銚子にかけてはタッパナガと
呼ばれるマゴンドウと同種が生息します。
日本政府管轄の下、許可されて太地や和田を基地として捕獲されています。
(尚マゴンドウは太地の追込み漁や沖縄においても捕獲されています。)
ハナゴンドウ
体長は2〜3m、体重は1〜2トン、体色は黒褐色で、くちばしは
ない。
通常50頭以下で行動するが、100頭以上の群を作ることもある。
温帯から熱帯にかけて幅広く分布。日本の太平洋岸沖合でもっとも
頻繁に出現する。
日本政府管轄の下、許可されて太地を基地として捕獲されています。
(尚ハナゴンドウは太地の追い込み漁においても捕獲されています。)


貴重な鯨は、こんなに利用されています

それぞれの画像をクリックすると拡大で見ることができます。
(画像は少し重いですが、大変参考になります。)
ナガス鯨 マッコウ鯨 ミンク鯨 ミンク鯨

鯨の恩恵

イラスト【上:ナガス鯨 下:マッコウ鯨】
■ひげ
■骨、皮脂
■赤肉
■甲状腺
■膵臓
■脳油
■歯
■骨、皮下脂肪
■龍涎香
■かぶら
■脳下垂体
■肝臓
■骨
■床(軟骨)
くつべら 釣竿の先
ながす油 せっけん グリセリンショートニング マーガリン
ハム ソーセージ
ホルモン剤
ホルモン剤
機械油
くつべら 印材 装飾品
まっこう油 軟膏 靴クリーム クレヨン 洗剤
香水 安定剤
松浦づけ かぶら骨
ホルモン剤
肝油
肥料
ゼラチン 薬のカプセル
鯨は食のみならず、日常生活にも沢山の恩恵を与えてくれています。
女性に関するものでは口紅、抹香油、香水などがあります。
ひげ鯨のひげは婦人用のコルセットやパラソルにも使用されました。
昔、西洋の貴婦人が絹のスカートの下に付けた環の部分もひげを使いました。
日本でも歌舞伎役者が着る衣装の袖口のあの円形も鯨のひげが最上としています。
関西は昔から浄瑠璃、文楽が盛んですが、この人形の各部分に鯨のひげは欠かせません。
バイオリン弦や釣竿も先が鯨のひげであれば、これに勝る物はないとされています。
また、くじらの筋(中筋)はテニスラケットのガットに使われておりました。
細工物から肥料に至まで利用価値を認めただけで一冊の専門書ができるほど、
鯨と人間とは深い歴史と文化で結びついてきました。鯨の恩恵はまだまだ沢山あります。
くじら肉はとてもヘルシーな食品です
【高タンパク】【低脂肪】「鉄分豊富】味はジューシィーでも低カロリー食品
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くじら肉と他の畜産肉の比較(100g中)
(科学技術庁 資源調査会編 5訂 日本食品標準成分表より)
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食品名 カロリーcal 蛋白質g 脂質g カルシウムmg
牛肉 260 17.5 20.5 6
豚肉 354 14.1 32.5 7
鶏肉 135 21.0 5.0 4
羊肉 142 16.4 8.0 7
鯨肉 127 23.0 3.0 11

 現在、捕鯨は厳しい状況にさらされていて、動物愛護としてのクジラという見方の方が強く
叫ばれていますが、今から数十年前までは、鯨は日本人の貴重な動物蛋白源でありましたし、和歌山県新宮市が生んだ
文豪、佐藤春夫も昭和11年(1936年)に発表した「勇魚とり」で角右衛門頼治を「捕鯨中興の祖」と讃えると共に
「捕鯨の事業に至っては海の幸の筆頭であらう」と述べております。更に、江戸時代においては「クジラ一頭で七浦がうるおう」
と言われておりましたし、元禄の頃は5代将軍徳川綱吉の世で、「生類憐れみの令」により、現在とは比較のしようが無いほど
動物に対する殺生は出来ない厳しい状況でしたが、それでも捕鯨事業は藩より保護され、朝廷や幕府に御用鯨肉を献上して、
そこでは正月には無くてはならない料理でした。それゆえ、捕鯨に携わる者は誇り高い人々でもあったのです。